虫歯を放置―どうなる?自然と治ることはある?危険性について解説
虫歯と言っても、症状や痛みの強さは人それぞれ。
痛みや自覚症状がない場合など、「治療に通うの面倒だし…」とつい放置してしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
今回は放置してしまった虫歯について徹底解説!
「虫歯を放っておくとどうなる?」「自然と治ることはあるの?」といった疑問にもお答えします。
虫歯を放置するとどうなる?自然に治ることはある?
そもそも放置した虫歯は自然に治るのでしょうか?
結論から言うと「NO」です。
歯の痛みには波があるので、さっきまであった痛みが自然に治まったことで、「治った」と勘違いされる方もいるかもしれませんね。
しかし、虫歯に関して「自然治癒」はありえません。
痛みが治まっている間も、虫歯は着々と進行している
のです。
虫歯を放置する5つの危険性
ここからは、虫歯を放置することで生じるリスクや危険性について詳しくご説明します。
繰り返しになりますが、虫歯が自然に治ることは絶対にありません。
症状は進行具合によって様々ですが、悪化すればするほど痛みが強くなり、痛み以外の症状も現れはじめるため、とにかく早い受診を心掛けましょう。
虫歯を放置する危険性1.食欲不振・消化不良に陥る
虫歯が悪化すると、食べ物を噛む時に痛んだり、飲み物がしみたりといったことがあります。
歯ごたえのないものを食べたり、噛む回数を減らしたりすることで痛みを避ける方もいるかもしれませんが、これは非常に危険です。
食事への意欲が薄れて食欲不振に陥ったり、咀嚼不足による消化不良を引き起こしたりしてしまうかもしれません。
虫歯を放置する危険性2.口臭がひどくなる
虫歯を放置すると、痛みだけでなく口臭悪化を伴うこともあります。
虫歯による口臭の主な原因は、2つあります。
☑虫歯によって開いた穴やすき間に詰まった食片やプラーク
☑炎症の悪化によって歯茎や歯根に溜まった膿
初期の虫歯が原因でそこまで口臭が激しくなることはありません。
口臭の悪化は、虫歯進行のサインである可能性が高いため、見落とさないようにしましょう。
虫歯を放置する危険性3.神経が壊死する
虫歯菌が歯髄(歯の神経)に達したまま放っておくと、神経の壊死・腐敗がどんどん進みます。
この段階までくると、我慢できないほどの痛みを伴うようになります。
そのため、汚染された神経は全て取り除いてしまわなければなりません。
この治療を「抜髄(ばつずい)」といいます。
虫歯を放置する危険性4.他の病気・体調不良の併発
鼻に膿が溜まってしまう副鼻腔炎(蓄膿症)は、虫歯の細菌による感染が原因の1つと考えられています。
また虫歯菌や歯周病菌は、顎の骨を溶かしたり血液に侵入して脳や心臓の疾患を引き起こしたりする危険性をはらんでいるのです。
また、頭痛や発熱、肩こり、めまい、倦怠感などの慢性的な体調不良を引き起こす恐れもあります。
このように、虫歯の放置によるリスクは口腔内だけに留まりません。
虫歯と頭痛や肩こりとの関係性は、下記記事で詳しく説明しています。
虫歯が頭痛を引き起こす5つの原因についても解説していますので、こちらも併せてチェックしてみてくださいね。
虫歯を放置する危険性5.抜歯しなければならなくなることも
虫歯になると、一般的には「根管治療」と呼ばれる、歯の根っこ(根管)を洗浄・消毒する治療を受けます。
根管治療では、歯の一部を削ったり、歯髄(歯の神経)を取り除くことはありますが、基本的には歯を残すために行われます。
しかし、虫歯による歯の欠損が激しく、根管治療による完治が難しいと判断された場合、抜歯を勧められることがあります。
抜歯になると、部分入れ歯・ブリッジ・インプラントの処置のどれかが行われることになります。
近年人気が高まっているインプラントは、見た目・機能性ともに非常に優れていますが、治療費が高額で、治療後も定期的なメンテナンスが必要というのがややネックになります。
そして何より、「自分の歯で噛める」ことは、何にも代えがたい喜びがあります。
治療が手遅れとなってしまう前に、一刻でも早く歯科医院を受診しましょう。
虫歯の進行と痛みの段階
虫歯の進行度は、アルファベットの「C」と数字との組み合わせによって表現されます。
「C」はカリエスという「虫歯」を意味する専門用語で、その横にくる数字により
C0→C1→C2→C3→C4
の5段階に分けられます。
C0:要観察
C0は、虫歯になる前段階の状態です。
虫歯菌の酸によって歯が溶かされ始めているため、健康な歯に比べて歯の上面にやや白濁・着色が見られます。
丁寧なブラッシングとフッ素とキシリトールの使用により、歯を再石灰化させることができる段階なので、ここではまだ治療は行ないません。
痛み・自覚症状もありません。
C1:虫歯の初期段階
歯の表面(エナメル質)に小さな穴が見られます。
しかし、穴の範囲はエナメル質だけに留まっているため、経過観察、もしくは表面を軽く削って詰め物をするというだけの簡単な治療で終わります。
エナメル質には知覚がないので、痛み・自覚症状はありません。
治療中の痛みも感じないでしょう。
C2:象牙質まで進行
エナメル質の下にある象牙質まで進行した状態です。
象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、C2になると進行スピードも上がってしまいます。
虫歯菌に汚染された部分を削って詰め物をしますが、治療にそれほど時間はかからず、治療回数も2~4回ほどで終わることがほとんどです。
象牙質は神経に刺激を伝えるため、痛みを感じたり、食べ物がしみたりといった自覚症状が現れはじめる段階です。
C3:歯髄まで進行
歯髄(歯の神経)まで虫歯が進行した状態です。
ここまで進行すると、深い所まで削って神経を取り除く必要があるため、治療回数が増え(5~10回程)治療期間も一気に長引きます。
また炎症が激しい場合は、麻酔が効きにくくなるため、治療に痛みを伴う恐れもあります。
ズキズキと激しい痛みや、歯茎の腫れといった症状が現れます。
C4:歯根まで進行
虫歯が歯根(歯の根っこ)まで達した状態です。
C4になると根管治療による修復が非常に難しくなるので、抜歯を勧められるケースが多いです。
抜歯後は、部分入れ歯やブリッジ、インプラントなどの処置を行うため、治療期間が長引き、治療費も高額になります。
神経が壊死してしまっているため、痛みは感じなくなります。
C0、C1は、まだ痛みも自覚症状も現れず、経過観察で済むケースも多い状態です。
C2になると、軽い痛みを感じたり、食べ物や飲み物がしみたりといった症状が現れはじめますが、簡単な治療で終わるので、この段階までには歯科医院を受診しておきたいところです。
C3、C4まで進行すると、根管治療の成功率が下がり、治療中の負担も大きくなります。
悪化すればするほど抜歯のリスクは高まりますので、自覚症状に気付いたらすぐに歯科医院を受診しましょう。
虫歯を放置するとどうなる?まとめ
今回は、虫歯を放置する危険性についてお届けしました。
放っておいた虫歯は着々と進行し、いずれ体調不良、内臓疾患の危険性をももたらします。
痛みを感じる場合は、すでにC2、C3と進行している場合が多いので、一刻も早く治療を開始しましょう。
また、「他院で抜歯を勧められたが、何とか歯を残したい」というお悩みをお持ちの方は、一度吉松歯科医院へご相談ください。
当院では、出来るだけ自分の歯を残すための治療に力を入れています。
経験豊富な歯科医師・吉松宏泰が自分の歯だと思って、親身になって治療にあたらせて頂くので、安心してお任せ下さい。
当院では、患者様一人一人とじっくり向き合って治療を行うために、完全予約制とさせて頂いています。
来院される前に、まずはご予約をお願いいたします。
初診時には1時間ほどかけて検査やカウンセリングを行います。診察後のお時間に余裕を持ってお越しください。