
感染根管治療の流れを徹底解説!治療手順や期間をわかりやすくご紹介
根管治療を受けた歯が再び痛み出したり、噛むと響いたり、歯ぐきに膿が溜まったりする場合には、歯の内部で細菌感染が続いている可能性があります。
こうした状態を改善し、歯をもう一度健康な状態に戻すために行われるのが「感染根管治療」です。
この記事では、感染根管治療の具体的な手順や治療期間の目安、実際の症例、治療後の痛みの理由と対処法まで解説します。
感染根管治療の目的や必要性については以下のページで紹介しているので、参考にしてみてください。
感染根管治療の流れ

感染根管治療の流れは次のとおりです。
- レントゲン・CT検査で感染状況を確認
- 古い被せ物・詰め物、根管充填材の除去
- 根管内の感染組織・菌の除去
- 根管内の洗浄・消毒
- 根管充填
- 土台づくり・被せ物の装着で歯を補強
それぞれ解説します。
1. レントゲン・CT検査で感染状況を確認
治療の第一歩は、現在の歯の内部で何が起きているかを正確に把握することから始まります。
レントゲン撮影に加え、必要に応じて歯科用CTで根の形や膿の広がりを確認します。
感染がどの方向に進んでいるのか、根が曲がっているか、根の先がどの程度炎症を起こしているかなど、治療計画に欠かせない情報が得られます。
2. 古い被せ物・詰め物、根管充填材の除去
以前の治療で装着された被せ物や詰め物を丁寧に取り外し、根管内部に残された古い材料を取り除きます。
古い充填材が残っていると、その下に感染源が隠れている場合があるため、慎重な作業が求められます。
マイクロスコープを用いることで、肉眼では見えない細部まで確認しながら除去を進めていきます。
3. 根管内の感染組織・菌の除去
根管内部には、感染した神経組織の残骸や細菌が潜んでいることがあります。
これらを取り除く工程が感染根管治療の中核となります。
複雑な形をした根管の奥深くまで器具を使って清掃し、細菌が再び増えないよう徹底的に感染源を除去します。
4. 根管内の洗浄・消毒
感染源を物理的に取り除いた後は、薬剤を用いて化学的に消毒を行います。
根管の細い支流や細菌が残りやすい部分まで洗い流します。
5. 根管充填
根管内が完全に清潔になったら、細菌が再度侵入しないように薬剤を詰めて密閉します。
バイオセラミックなどの高い封鎖性を持つ材料を使用することで、再感染を防ぎ、根の内部を安定させることができます。
この充填作業は、治療結果を左右する重要な工程のひとつです。
6. 土台づくり・被せ物の装着で歯を補強
根管の治療が完了すると、削った歯を補強するための土台を作り、その上に被せ物を装着します。
根管治療を受けた歯は脆くなりやすいため、適合精度の高い被せ物を装着することで、長期的な安定と破折の防止に繋がります。
吉松歯科医院の治療の流れや方針については下記をご覧ください。

感染根管治療にかかる期間・回数の目安

感染根管治療にかかる期間・回数の目安は以下のとおりです。
- 治療が複数回必要になる理由
- 治療期間が長くなるケース
- 短期間で終われるケース
順番に説明します。
治療が複数回必要になる理由
感染根管治療が一度で終わらないのは、根管内の感染源を完全に取り除くには、慎重な確認と再評価が必要だからです。
一度消毒しても、次回の治療でわずかな感染源が見つかることもあり、細菌を残したまま最終的な塞ぎ込みを行うと再発につながります。
確実に治すためには、複数回の通院が基本となります。
治療期間が長くなるケース
根の先に大きな膿が溜まっている場合や、根管が複雑に曲がっている場合、または過去の治療で太い金属のポストが入っているようなケースでは、治療期間が長引くことがあります。
細菌が深部まで広がっている、あるいは破折が疑われる場合も、慎重な処置が必要なため数か月かかることもあります。
短期間で終われるケース
感染範囲が浅く、根管の形態が比較的単純で、初期段階の炎症で済んでいる場合は、数回の治療で完了することがあります。
また、マイクロスコープや歯科用CTを用いた精密治療によって、短期間で効率良く治療を進められるケースも増えています。
吉松歯科医院でも設備を完備し、滅菌対策も行っていますので、以下のページもご確認ください。
感染根管治療の症例紹介

【動画解説】根管治療の流れ
左側上顎前歯21、術前のレントゲン、CT画像より大きな骨欠損が確認できる。
初診時のコンサルテーション後、治療1回目で根管充填まで終わり、3、ヶ月後に骨の再生が確認できたのでグラスファイバーによる築造をして現在に至る。
麻酔をした後にラバーダム防湿を行う。重要なのはクラウンを外す以前からラバーダム防湿を行うと言う事です。現在の日本の大学ではクラウンを外してからラバーダム防湿を行うと言う教育になっています。これでは金属片などが歯肉に刺さったり、場合によっては飲み込んでしまったり、ラバーダム防湿の長所を生かす事が出来ないのです。
可能な限り余分な健全歯質は、削りたくはないので慎重に処置を行っていきます。
感染部分、虫歯の部位が緑色に染まるカリエスディテクターを用いて何度も根管上部の感染部を徹底的に除去していきます。根管治療は、感染部を除去する事がとても重要です。
感染部のみを切削できるバーを用いて感染部の徹底した除去を行います。
ある程度物理的な感染除去が終わりましたら、次は化学的な感染除去になります。
吉松歯科医院で用いている薬剤は、17%EDTAと次亜塩素酸ナトリウム(使用するタイミングにより濃度を1%未満〜12%の間で調整して用いています。
通常は6%の次亜塩素酸ナトリウムを用いて、振動切削機で振動を加え活性化をしたり、レーザーを用いて次亜塩素酸ナトリウムを活性化します。これは、根管内の象牙細管内に存在する細菌を死滅させるために行います。場合によっては、根尖孔より外に出して次亜塩素酸ナトリウムを活性化する事があります。
次に接着のための下準備です。
50ミクロンの酸化アルミナの粒子を接着歯面に吹付、接着面の清掃及び接着面積を増やします。
長さや根先孔の太さの確認のためにファイルを入れてレントゲンを撮ります。
根管内がキレイになったことを確認したら、根管充填をバイオセラミックで行います。
その後、確認のレントゲンを撮り根尖部まできちんとバイオセラミックが入っていることを確認します。
その後、根管内壁に着いてた余分なバイオセラミックを取り除き、接着のステップに入れいます。
このケースでは光重合のボンディング剤を用いているため根管内部に光が入るための機材を用いて行っています。
その後は、前歯なので左右の形態をできるだけ同じようにレジンで作り1回目の処置は終わります。
3ヶ月後、根尖部の骨再生が確認されたのでファイバーポストを入れてます。
感染根管治療後の痛みと対処方法

感染根管治療後の痛みと対処方法は次のとおりです。
- 治療後に起こりやすい痛みの種類
- 痛みが続く・増す場合に考えられる原因
- すぐ受診すべき症状
それぞれ解説します。
治療後に起こりやすい痛みの種類
治療後に感じる痛みには、根の先が反応するズキズキとした炎症痛や、噛んだ時にだけ起こる違和感があります。
治療による刺激が原因で、多くは数日から一週間ほどで落ち着いていきます。
痛みが続く・増す場合に考えられる原因
痛みが長期的に続く場合や悪化する場合は、根の先に炎症が残っている、治療途中で感染源が再度広がった、噛み合わせが高くなっている、歯根に亀裂が生じているなどの可能性があります。
根の先の膿が大きい場合は、改善までに時間がかかることがあります。
すぐ受診すべき症状
強い腫れが引かない、夜間に痛みが増す、熱いものがしみる、発熱を伴う、歯ぐきから膿が出るといった症状は、炎症が悪化しているサインです。
早めに歯科医院を受診し、歯の保存につなげましょう。
感染根管治療後の歯を長持ちさせよう

感染根管治療は、適切に行えば歯を再び長く使える状態へと導くことができる治療です。
しかし、治療後のセルフケアや定期的なメンテナンスを怠ると、再び細菌が侵入し、炎症が再発する可能性があります。
治療後は適正な噛み合わせを維持し、歯のクリーニングや検診を定期的に受けることが大切です。
吉松歯科医院では、マイクロスコープや歯科用CTを用いて、正確な治療を行っています。
他院で抜歯と言われた場合でも、歯を残せた事例があるため、セカンドオピニオンとしても受診いただけます。
ご不明、ご不安点など、まずはお気軽にお問い合わせください。